「バッサリ引き算法」思い切り要素を削ってみると新しい魅力が見えてくる

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少し昔の話から。

紀伊國屋書店の新宿店で2012年に行われた文庫本のキャンペーンで、ちょっと面白いものがありました。当時、話題になったので知っている方もいるかもしれません。キャンペーンタイトルは「ほんのまくらフェア」というもの。

どんなものかといいますと、

著者が思いを込めて書いた『書き出し』=『まくら』を手だてに、お客様の直感で本を選んでいただくというもの(当時のPOPより)

です。

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本の書き出しって、魅力的

 

「あした世界が終わる日に一緒に過ごす人がいない」

「半年前から、玄関で寝ている。」

「他人の母親を盗みなさい。」

「一枚のガラスを境にして、冬と夏がとなりあっていた。」

「地球に着陸した最初のエイリアンは、七十ニ秒間だけ滞在した。」

「皆さん、はじめまして。ところでいきなりですが、小説なんてのは、そもそも大きなことを書くためのものではないそうです。」

「あの日を堺にしてすべてが変わってしまった。私の人生も、生きる目的も、喜びも、悲しみも、みんなその前とは違ってしまった」

 

などなど、「ほんのまくら」と言っているだけには、本の魅力がいっぱいつまっています。

とても好評な企画で、2013年には、全国の紀伊國屋書店で展開されましたし、この企画にインスパイアされたからかわかりませんか、同時期にいろんな小説の書き出しだけを掲載したkakidashiというサイトも話題になりました。

 

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http://kakidashi.com/

 

「ほんのまくら」の優れていたところは「ばっさり引き算」ができたところ

 

「ほんのまくら」フェアが素晴らしいのは、「書き出し」に着目したことだけではありません。
むしろ、いちばんのアイデアは「思い切って引き算」ができたところにあると思います。それはなにかといいますと、「文庫を開けないようパッキングした」点です。

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写真を見てわかるように、まくらが書かれたカバーはパックされていて、本の中身はおろか、著者名も本のタイトルもわからない。「本の書き出しを使って購買意欲を高める」アイデアとも言えますし、「本のタイトルも著者名も伝えずに本を売る」アイデアともいます。ネット上では「本の闇鍋」などと取り上げられ話題になりました。

 

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参考: 本の闇鍋。紀伊國屋書店で昨年大好評だった、あの「ほんのまくら」フェアが帰ってきます! – NAVER まとめ

 

実際に売上も好調だったようです。

 

 

「何を伝えないか」「何を削るか」こそがアイデアになる

 

このように、「何を伝えないか」、「何の要素を削るか」ということがアイデアになるのです。著者の好き嫌い、タイトルによる興味のありなし、という旧来とは違う本の選び方を消費者は楽しんだのではないでしょうか。

アイデアや情報というと、ついついたくさんあったほうがいい、と思いがち。でも、外してみることも試してみませんか。以前、目隠しをさせて食事をさせるというサービスもありましたね。こちらも視覚情報がない分、味覚に神経がいって味や食感をより楽しめるのだとか。

 

参考: こどもごころ製作所 クラヤミ食堂

 

外すとき、削るときには「バッサリ」と。誰もがそれは必要だろう、と疑わないところから、疑ってみてください。案外、面白い発見があるかもしれません。

 

【おまけ】先ほどの「ほんのまくら」の答え

 

気になってしまった人もいると思いますので、最後に、先ほど例に挙げた、ほんのまくらの答えをお伝えします。

 

「あした世界が終わる日に一緒に過ごす人がいない」

 

「半年前から、玄関で寝ている。」

 

「他人の母親を盗みなさい。」

 

「一枚のガラスを境にして、冬と夏がとなりあっていた。」

 

「地球に着陸した最初のエイリアンは、七十ニ秒間だけ滞在した。」

※この書き出しは、この文庫所収の「すべての種類のイエス」という作品。
「皆さん、はじめまして。ところでいきなりですが、小説なんてのは、そもそも大きなことを書くためのものではないそうです。」

 

「あの日を境にしてすべてが変わってしまった。私の人生も、生きる目的も、喜びも、悲しみも、みんなその前とは違ってしまった」

 

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